さらば、Evernote

 すでにご存じの方も多いと思いますが、先日(2023年12月4日)からEvernoteの無料ユーザー向けのサービスの大改悪が行われ、僕のところにもこんなメールが届きました。



無料ユーザーが所有できるノートブックは1個、ノートは50個が上限となり、すでに上限に達している場合は既存のノート・ノートブックは維持されて閲覧・編集等はできるものの新規の作成はできなくなったのです。ノートが作成できないノートアプリなどもはや用を成しません。要するに、「無料ユーザーは金を払って有料ユーザーになるか、利用をあきらめるか、どちらかを選べ」と言うわけです。


ここまで無料ユーザーをコケにした改悪は見たことも聞いたこともありません。これまでもEvernoteは無料ユーザーに対する制限を強め続けてきましたが、ついに一線を越えたと言うべきでしょう。無料ユーザーも人間です。人間には感情があります。ここまでコケにされて「じゃあ有料ユーザーになろう」と思う無料ユーザーはまずいないでしょう。「だったらやめてやるよ」となるのが普通です。そもそも無料ユーザーとはいえユーザーに対してこんな仕打ちをするサービスは、いずれ有料ユーザーをもないがしろにする可能性が大ですから、有料ユーザーになっても先の見通しは暗いと言わざるを得ません。幸い、代わりになるサービスはいくらでもありますし、既存データの移行も可能ですから、金を払ってまでEvernoteに残る意味はないと個人的には思います。


乗り換え先はUpNote有料プラン(格安)

乗り換え先として候補に挙がるのは、OneNoteやJoplin、Obsidian、Notionなどですが、最右翼はUpNoteでしょう。インターフェースがEvernoteのそれに近く、Evernoteユーザーであれば操作に戸惑うことはほぼありません。ただし、無料プランの場合はノートの作成が50個までという制限(Evernote無料プランと同じ)がある上に、データのインポート機能も使用できません。したがって、Evernoteからの移行先としてUpNoteを選ぶのであれば、有料プランにしなければいけません。どのみち金を払うならEvernoteの有料ユーザーになればいいのでは、と思うかもしれませんが、金額が全く違います。Evernoteは月払いで¥1100/月、年払いで¥9300/年(2023年12月現在25%割引中で¥6975/年)もかかります。これに対しUpNoteはたったの¥100/月で、文字通り桁が違う。しかもサブスクが当たり前の今の時代になぜか買い切りプランがあり、¥3480で永遠に利用できます。仮に10年利用したとすると、Evernoteは¥93000にもなりますが、UpNoteの買い切りプランなら10年だろうと20年だろうと¥3480だけです。こんなに安くて本当に大丈夫なのかとこちらが心配になるくらいですが、逆の見方をするとEvernoteがそれだけぼったくっているということなのかもしれません。


そんなわけで、このたび晴れてEvernote無料プランからUpNote有料プラン(買い切り)に乗り換え、データもすべて移行したので、以下、その手順を備忘録として残しておきます。


大まかな手順としては、①UpNoteをインストールし、アカウントを作成する ②UpNoteの有料プランにアップグレードする ③Evernoteのノートをエクスポートする ④エクスポートしたノートをUpNoteにインポートする という流れになります。


WindowsPCへのインストール

まずはUpNoteをインストールします。僕の場合、インストールするデバイスはWindowsPCとAndroidスマホです。


Windowsの場合は、 https://getupnote.com/ のページ最下部に各OS向けのアプリストアが一覧になっているので、「Get it from Microsoft」ボタンをクリックして、Microsoftストアを開き、「Install」ボタンをクリックするとダウンロード・インストールが実施されます。何らかの理由でMicrosoftストアからのインストールができない場合は、「Get it from Microsoft」ボタンの下にある「Download App」ボタンをクリックして、インストーラーをダウンロードし、そのインストーラーを実行してUpNoteをインストールします。



インストールが完了したら、スタートメニューにUpNoteが追加されているはずですので、そこからUpNoteを起動します。毎回スタートメニューから起動するのが面倒であれば、タスクバーにピン止めするなどしておくと良いでしょう。


アカウントの作成

初めて起動するとログイン画面が開きますが、デフォルトでは英語表記になっているので、右下の「English」をクリックして言語を「日本語」に変更しておきましょう。


次にアカウントを作成します。GoogleやAppleのアカウントを使用することもできますし、メアドを登録してUpNote用のアカウントを新規に作成することもできます。



アカウント作成後、ログインすると、Evernoteによく似た画面が開きます。Evernoteに慣れているユーザーなら直感的に操作は理解できるでしょう。初期状態で「はじめる」というノートブックと、その中にUpNoteについて解説したノートが2つ、存在していますので、一通り目を通しておくとよいでしょう。


Androidスマホへのインストール

アカウントが作成できたら、次に有料プラン(プレミアムプラン)にアップグレードが必要ですが、Windows上のUpNoteからはアップグレードができません。アップグレードはAndroid(あるいはiOS、Mac)上のUpNoteからしか行えないのです(2023年12月現在。いずれWindowsからもアップグレードできるようになるかもしれません)


そこで、まずAndroidスマホへのインストールをおこないます。Google Playを起動してUpNoteを検索し、ダウンロード・インストールするだけです。インストールできたら、さきほど作成したアカウントでログインします。


ログインできたら、画面右下の「…」をクリックし、設定メニューを開いて、「プレミアムにアップグレード」をタップします。



アップグレード画面が開くので、「無期限(買い切り)」ボタンをタップし、支払いを済ませれば、晴れてプレミアムユーザーです。支払いはキャリア決済サービスやクレジットカードなどが利用できます。



これで、ノートの作成が無制限となり、インポート機能も使えるようになりました。


Evernoteからのデータのエクスポート

次に、EvernoteからUpNoteへのデータの移行をおこないます。作業としてはデスクトップ版のEvernoteからエクスポートしたデータファイルをUpNoteにインポートするだけです(※ブラウザ版のEvernoteにはエクスポート機能はありません)。噂によると、最新バージョンのEvernoteでは、一度に50ノートしかエクスポートできないという嫌がらせをしているそうなのですが、僕の場合は、1000以上のノートを含むノートブック丸ごとエクスポートすることができました。バージョンを確認したら「6.22.3.8816」でしたが、これは古いバージョンなのでしょうか。なんにしても幸運でした。


ところが、思わぬ落とし穴があり、インポートするUpNoteの側でインポートできるファイルサイズに20MBの上限が存在しました。


僕がEvernoteに保存していたノートはWebページをクリップしたものがほとんどのため画像も多く、エクスポートファイルのサイズも大きくなり、ノートブックをまるごとエクスポートするとファイルサイズが上限の20MBを超えてしまい、UpNoteにインポートできません。というわけで、ノートブックまるごとではなく、エクスポートファイルのサイズが20MBを超えない程度にノートブック内のノートをいくつかに分けてエクスポートすることになりました。それでも50ノートずつエクスポートすることを考えれば遥かに楽です。


エクスポートの方法はいたって簡単で、ノートブックまるごとの場合はノートブックを選択して右クリック→「ノートをエクスポート」を選択します。


ノート単位の場合は、エクスポートするノートをまとめて選択して右クリック→「ノートをエクスポート」を選択します。


すると、エクスポートするファイル形式を選択するダイアログが開くので、ENEX形式を選択し、「エクスポート」ボタンをクリックし、名前をつけて保存します。


エクスポート自体はあっという間に終わります。1000ノート以上を含むノートブックまるごとでも数秒でエクスポートできました。


UpNoteへのインポート

あとは、エクスポートしたENEXファイルをUpNoteへインポートするだけです。WindowsPCのUpNoteを起動し、画面右上の歯車マークをクリックして設定メニューを表示し、「一般」→「Evernoteからインポート」を選択します。


インポートダイアログが開くので、各項目を設定します。


「enexファイルを選択します」をクリックして、インポートするENEXファイルを選択します。この項目の設定がされていないと、「ノートをインポート」ボタンをクリックすることができません。


「ファイル名をノートブックとして使用」をオンにすると、インポートするENEXファイルの名前をノートブック名とする新規のノートブックが作成され、インポートされたノートがそのノートブックの中に収納されます。


「Evernoteからタグを変換する」の項目は、「なし」「ノートブック」「ハッシュタグ」の3つの選択肢があります。「なし」の場合は、Evernoteで各ノートに付加していたタグはすべて無視し、UpNoteには引き継ぎません。「ノートブック」の場合は、Evernoteで付加されていたタグがそれぞれノートブックになり、タグが付加されていたノートが各ノートブックに収納されます。「ハッシュタグ」の場合は、Evernoteで付加されていたタグがハッシュタグ(#~)の形で各ノートの記事内に記載されます。要するに、UpNoteにはEvernoteのような階層化可能なタグ機能は備わっていないので、Evernoteで使用していたタグを何らかの形で代用するか、無視してしまうかを選択しないといけないわけです。タグ機能なんか元々使っていないという人は「なし」でいいでしょうし、タグを使っていて何らかの形で残したい場合は「ハッシュタグ」でよいのではないかと思います。


「ノートブックに追加する」の項目は、インポートするノートを既存のノートブックに追加したい場合に、対象のノートブックを選択します。


設定が完了したら、「ノートをインポート」をクリックしてインポートを開始します。しばらく待てばインポート完了です。


Webクリッパーは不完全

これでEvernoteからUpNoteへの乗り換えは完了です。Evernoteに入っていたノートはすべてUpNoteで見ることができ、操作もほぼ同じ。さらにEvernoteと異なり使用できるデバイス数に制限がないので、PCでもスマホでもタブレットでも好きなだけUpNoteをインストールして利用できます。同期に時間がかかりすぎるというようなことも今のところありません。


ただし、Evernoteで使っていた機能を完全にUpNoteで引き継げるというわけでもありません。Webクリッパーもその一つです。


Evernoteユーザーの多くがWebページの保存にEvernoteを利用してきたと思いますが、その際に便利なのがWebクリッパーで、ブラウザにアドオン(拡張機能)として追加しておけば、ワンクリックで閲覧中のWebページをEvernoteに保存することができます。


UpNoteにも、各ブラウザ用にWebクリッパーのアドオンが用意されています。Chromeの場合はChromeウェブストアで「UpNote Web Clipper」を入手できるので、Chromeに拡張機能として追加するだけです。


使い方も簡単で、保存したいWebページを表示させ、ツールバーにあるUpNote Web Clipperのアイコンをクリックするだけです。


ただ、UpNote Web Clipperには大きな難点があります。会員登録してログインしなければ全部または一部が閲覧できないWebページというのがありますが、そのようなページをログイン状態で表示させているにも関わらず、UpNote Web ClipperでUpNoteに保存すると、ログインしていない状態のページが保存されてしまうのです。EvernoteのWebクリッパーでは、ブラウザ上で表示されている状態がそのまま保存されるのですが、UpNote Web Clipperではそうはいかないようです。これでは先述のようなページでWebクリッパーとして使用することは事実上不可能です。ちょっと不便といえば不便ですが、クリッパーが使えないなら普通にコピペすれば済む話なので、致命的と言うほどではないと個人的には思います。また、今後改良される可能性もあるでしょう。


まとめ

これでもうEvernoteとはお別れ、無料ユーザーいじめに悩まされることもなくなります。これからはUpNoteを快適に使っていきます。

I'm so happy I will Never note in Evernote !!