3月23日の朝、Ev Williamsからメールが届いていました(当然、一斉送信メールですが)。内容は以下のとおり。

Hi 汎兮堂,
Today, we’re beginning a limited release of our new membership program for readers. As one of our most loyal readers, I want to invite you first to become a member of Medium, before we open it up to the rest of the world.
今日、我々は読者のための新たなメンバーシッププログラムの限定リリースを開始します。他の人々にこのプログラムを広める前に、Mediumの最も熱心な読者のひとりとして、まずあなたをMediumのメンバーに招待したいと思います。
To give you a sneak peek of where we’re heading, I’ve written up thoughts on our vision for membership.
我々の目指すところについてのプレビューをあなたにお示しするため、メンバーシップに対するわれわれのビジョンについての考えを執筆しました。
【Read my post】
(Evの投稿へのリンク)
This membership program is the next step in our effort to change the way content is created, shared, and rewarded on the internet. It’s time to rethink the media ecosystem. And to develop a meaningful alternative to the status quo of half truths and hot takes, we need your help.
このメンバーシッププログラムは、インターネット上でコンテンツが作られ、シェアされ、報酬が支払われる仕組みを変革するための我々の努力における新たなステップです。メディア業界の収益構造を考え直す時なのです。そして、一面的な事実や感情的な見解に満ちた現状に対する意義ある代替手段を発展させるため、あなたの助けが必要なのです。
To become a founding member, you can learn more and upgrade here. (If you’re visiting from your phone, make sure to update your app first.) We’re only inviting a small set of readers right now, and we’ll be adding exclusive content and features for members on a weekly basis — so this is just the beginning.
創設メンバーになるために、あなたはここ(リンク先)でより多くを学び、アップグレードすることができます(もしスマホからアクセスしているのでしたら、まずアプリを必ずアップデートしてください)。我々は現時点では少数の読者だけを招待しており、週1回の頻度で、会員向けの限定的なコンテンツや特集記事を追加していくつもりです。これは始まりにすぎません。
Thank you for being a part of the Medium community. With every story you read, recommend, and highlight, you’re helping us build a better place on the internet.
Mediumのコミュニティーに参加していただき、感謝します。あなたがストーリーを読み、リコメンドし、ハイライトしていただいくことが、我々がインターネット上によりよい場所を築くことの助けになります。
- Ev
要は「メンバーシッププログラム」というのを始めることにしたけど、まだ一般には公開してなくて、ヘビーユーザーのあなたを特別に招待しますから、メンバーになってください、ということらしい。しかし、「Mediumメンバー」というのが具体的にどういうものかはこのメールではよくわかりません。そこでまず、メール文中で触れられているEvの投稿記事“Upgrade your Medium”を読んでみました。記事は以下のように始まります。
Upgrade your MediumJoin us in changing what stories get toldMediumをアップグレードしよう我々の仲間になって何が語られるべきかを変革しようI’d like you to be among the first to become a Medium member, a new subscription program we’re launching today to a limited number of people. Over the next few weeks, we’ll be rolling it out to everyone, but for now, this post is unlisted, and we’re only inviting those who meet certain criteria to sign up.
私はあなたに最初のMediumメンバー(今日、我々が限定された方々向けに立ち上げた有料購読プログラム)の仲間になってほしいと思います。今後数週間のうちに、我々はこの制度をすべての人々に公開するつもりですが、今のところこの投稿はリストに載っておらず、契約基準に合致している人だけを招待しています。
つまり、この記事はメンバーに招待したユーザーだけに限定公開されているものらしいです(とは言っても、Mediumの特性として、アドレスを知っていれば誰でもアクセスできてしまいますが)。ここで記事の全文を紹介したり、記事のアドレスにリンクを張ってしまうと、Evの意図に反することになるんじゃないかと思うで、今のところそれは控えますが、概要は以下のとおりです。

  • メンバーシッププログラムとパートナーシッププログラムを開始する
  • メンバーは月5ドルを支払うことで、メンバー限定の記事や機能を読んだり利用したりできる
  • パートナーは専門知識を持つライターの応募者からMediumが選んで契約する。メンバーから集めた資金がパートナーに支払われる。
  • このシステムによって、注目を集める能力ではなく読者にとっての価値をもたらす能力に報酬が支払われるようになる。
  • メンバーシッププログラムもパートナーシッププログラムも最初は小規模から開始し、徐々に拡大していく。

メンバーシッププログラムとパートナーシッププログラムについては、より詳細な解説ページがMediumによって公開されています。メンバーシッププログラムについての解説ページは上記のメール文中にもリンクが張られています。内容は以下のとおりです。
We started Medium in 2012 to create a better place to find and share important ideas that deserve to be heard.
Since then, over seven million stories have been published on Medium, influencing hundreds of millions of readers. But today, the precariousness of our media ecosystem has never been more obvious — nor has our need for depth, truth-seeking, and understanding.
私たちは2012年にMediumをスタートし、耳を傾けるに値する重要な考えを見つけ、シェアできるすぐれた場を作り上げました。
それ以来、700万を超えるストーリーがMediumで公開され、何億もの読者に影響を与えてきました。しかし、現在でも、メディア業界の収益構造の不安定さ(危険性)も、深層や真実を追究し理解することの必要性も、より明らかにはなっていません。
It’s time for thoughtfulness to prevail. That means transforming not just the experience around reading and writing, but also the economic model that determines which stories are told, clicked on, and compensated. Together, we can change how things are done.
今こそ思慮深さを広めるべきときです。それはつまり、単に読み書きの体験のみならず、どのストーリーが読まれ、クリックされ、報酬を支払われるべきかを決定する経済モデルをも作り変えるということです。我々はともに物事がなされる方法を変えることができるのです。
We invite you to join us as a paid member and to help support an ad-free platform that delivers the right type of content: the type that can only be created when independent writers and publishers are rewarded based on value rather than clicks. Medium will remain free and open for anyone who wants to share ideas with the world. And now, as a reader, you can upgrade to become a member and experience a new layer of Medium:
我々は、有料メンバーとして我々の仲間に加わり、真っ当なタイプのコンテンツを届ける無広告のプラットフォームをサポートすることにあなたを招待します。そのようなタイプのコンテンツは、独立したライターやパブリッシャーがクリック数ではなく値打ちに基づいて報酬を受ける場合にのみ可能です。Mediumはひきつづき、考えを世界とシェアしたいと思うすべての人に対して無料、オープンであり続けます。そして、今、あなたは読者として、メンバーにアップグレードしMediumの新たな層を体験することができます。
Exclusive stories from top writersAs a founding member, your contributions will be used to directly pay writers and publishers. That means new content that wouldn’t otherwise be on Medium — or wouldn’t exist at all. You’ll have access to exclusive stories from leading experts, including your favorite Medium writers, on topics that matter not just today, but tomorrow too.
トップライターによるメンバー専用ストーリー創設メンバーとして、あなたの寄付はライターやパブリシャーに直接支払われることになります。つまり、そうでない形でMedium上にある新たなコンテンツは全く存在しなくなるでしょう。あなたは、今だけでなく将来も有意義な話題についての、第一人者(あなたの好きなライターを含む)による、メンバー専用ストーリーにアクセルできます。
Early access to a new Medium experienceYou’ll get the first look at our newest reading features, starting with a new homepage that makes it easier than ever to discover great stories. And that’s just the beginning. You’ll always get early access to our latest improvements as a member, and we want to hear from you about how it can be better.
新たなMedium体験に先行アクセスあなたは我々の最新の閲読機能を最初に見ることになるでしょう。それは素晴らしいストーリーを今までより容易に見つけることができるように作られた新たなホームページとともに始まります。そして、それは始まりにすぎません。あなたはメンバーとして、常に我々の最新の改善に先行アクセスすることになるでしょうし、我々はあなたから、どのように改善すべきかをお聞きしたいと思います。
Personal, offline reading listMembers exclusively unlock an upgraded reading list you can access anytime, anywhere. Easily add and remove stories from your queue, save them to your archive, and read them at your own convenience — no wifi necessary.
個人用のオフライン閲読リストメンバーだけが、アップグレードされた閲読リストを開くことができ、そのリストにはいつでもどこででもアクセスすることができます。簡単にあなたの待ち行列にストーリーを加えたり除いたりし、それらをアーカイブに保存し、そしてあなたの都合のいいときに、Wifi不要で読みましょう。
つまり、月5ドル払ってメンバーになることで、非メンバーが読めない記事を読んだり、非メンバーが使えない機能を使えるようになる、ということです。基本サービスは無料にすることでユーザーを集め、その中でより高度な機能を求めるユーザーに対して有料サービスを提供して収益をあげるというのは今では当たり前になりましたが、Mediumが他と異なるのは、メンバーから得た資金をそっくりそのまま、パートナーと名付けられたライター・パブリッシャーに提供するということです。したがってこのメンバー制度はパートナー制度と表裏一体のシステムなのです。そこで、今度はパートナーシッププログラムについての解説ページを見てみます。内容は以下のとおりです。
Medium Partner ProgramWith the launch of our new subscription, Medium Membership, our goal is to fundamentally change the negative feedback cycles of publishing on the internet that we’re all so familiar with. By rewarding creators based on the value they deliver to readers — knowledge, insight, perspectives — rather than to advertisers — eyeballs, clicks, attention — we can make space for substance to thrive.
Mediumメンバーシップという新たな購読制度を立ち上げた我々の目的は、みんなが慣れ親しんでいるインターネットでのコンテンツ公開の負のフィードバックサイクルを根本的に変革することです。クリエーターへの報酬を、広告主にもたらす価値(閲覧数やクリック、注目)ではなく、読者にもたらす価値(知識、洞察、視点)に基づいて支払うことによって、我々は実質あるものが栄える空間を作ることができるのです。
Writers across the world will continue to be able to publish on Medium for free, but we know there’s a great deal of content that never gets written or published for lack of it making economic sense to do so. We want those stories — well-researched explainers, insightful perspectives, and useful knowledge with a longer shelf life — to exist on Medium, and we think our paying readers will want to read them too.
世界中のライターはひきつづきMedium上で無料でコンテンツを公開できますが、我々は経済的な意義を欠くために執筆・公開されることがない大量のコンテンツが存在することを知っています。我々はそのような記事(よく調査された解説記事や洞察力に富む視点、より長期間意義を失わない有用な知識)がMedium上に存在することを望みますし、有料読者もそのような記事を読みたいだろうと思います。
We’ll be directly investing our member subscription revenue into quality content and amping up that investment over time, based on what our members are reading and recommending. We’ll invest not by creating content ourselves, but by partnering with independent writers and publishers who have collective expertise across thousands of topics. If you’re a writer, publisher, or expert who wants to just do great work and get paid for it — without having to worry about how viral it’s going to go — we invite you to join us.
我々は、Mediumメンバー契約による収入を良質な記事に直接投資し、その投資を徐々に拡大していくつもりであり、その投資はメンバーによる閲読とリコメンドに基づきます。我々は自身でコンテンツを作り出すことによってではなく、蓄積された専門知識を持つあまたの分野の独立したライターやパブリッシャーと提携することによって投資するつもりです。もしあなたがライターやパブリッシャー、あるいは専門家であって、ただ単にすばらしい仕事をしたい、それによって収入を得たい(コンテンツをいかにして拡散させるかに悩むことなしに)のであれば、私たちはあなたを仲間に招待します。
In the Medium Partner Program, you’ll get streamlined access to submit stories or ideas for consideration. We’ll also seek your thoughts on how the program should work, as we learn together.
Mediumパートナープログラムにおいて、あなたは簡素化されたアクセスで、対価を得るための記事やアイデアを投稿することができます。みなさんとともに学んでいくために、このプログラムがどのように機能すべきかについて我々はみなさんの意見も求めるつもりです。
Apply to be a partner.パートナーへの応募If you’re interested in applying to be part of the program, please complete the form below. We’ll get back to you as soon as we can if you’re a fit for this initial program.
We’re planning to accept a limited set of contributors to start, and we’re particularly looking for those with expertise in key topic areas (US politics, science, technology, personal development, business and start-ups).
Over time, we plan to open up new revenue opportunities for as many creators as possible.
もしこのプログラムへの参加応募に興味があれば、以下のフォームに入力してください。あなたがこの初期プログラムに適合していれば、できるだけ早くご返信いたします。
我々は限定的な寄稿者を受け入れてスタートするつもりであり、特に重要なジャンル(米国政治、科学、テクノロジー、個人の能力開発、ビジネス、起業)の専門知識を持つ方を探しています。
我々は時間をかけて、新たな収入の機会をできるだけ多くのクリエーターに対して広げていくつもりです。
パートナーになるには、上記のページのフォームから応募し、Mediumによってふさわしいクリエーターと認められる必要があるということです。特に、米国政治・科学・テクノロジー・能力開発・ビジネス・起業などの分野の専門知識があるライターを探しているということですが、Medium Japanが活動終了した今、Medium本社に日本語が理解できるスタッフがいるとも思えず、日本語で執筆しているライターをどうやって審査するのでしょうか。たぶん無理でしょう。となると、パートナーになれる可能性があるのは、上記の分野についての記事を英語で執筆している方に事実上限られるのではないかと思います。私などは全くお呼びではないでしょう。

パートナーになるのは難しいとしても、メンバーには月5ドル払いさえすればなれます。月5ドルのメリットがあるのかどうかはよくわかりませんが、Mediumがつぶれてしまわないための寄附と思えば安いものです。早速、メンバーシップ解説ページから申し込みました。クレジットカード情報を入力してクリックするだけです。


すると、すぐに手続き完了、晴れて私はMediumの「founding member」となりました。


メンバーになったので、早速、メンバー限定記事を読んでみたいところです。Medium Staffによる“Medium members, welcome to your new homepage”という記事にアクセスしたところ、ページの一番上に“Story for members only”と表示されており、この記事はメンバー限定記事だとわかります。

もし、メンバーでないユーザーが上のリンクをクリックしてメンバー限定記事にアクセスするとどういうふうになるのか気になったので、別のブラウザでアクセスしてみたところ以下のようになりました。


記事の冒頭だけ表示され、その下にMediumメンバーへのアップグレードを促す内容が表示されています。

今のところ、メンバーと非メンバーの実質的な違いは、上の“Medium members, welcome to your new homepage”という記事が読めるかどうかぐらいしかないように思いますが、今後気付いたことがあれば、折りを見て紹介できればと思っています。